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《日本研究所 活動報告》神田佐野文庫企画展 シンポジウム「西周と幕末洋学の転換」開催報告

2025年11月05日水曜日(12:30〜14:40)、神田外語大学(4-101教室)にて神田佐野文庫企画展に合わせたシンポジウム「西周と幕末洋学の転換」が開かれた。開会に際して司会の上野(グローバル・リベラルアーツ学部同学科所属、日本研究所所員)から趣旨説明が行われたのち、町田明広氏(外国語学部国際コミュニケーション学科副学科長、日本研究所所長)による講演(三十分)、松田清氏(京都大学名誉教授・日本研究所客員研究員)による講演(六十分)と続き、司会から両講演に対する簡潔なコメント(十分程度)があったのち、三者による鼎談(二十分程度)がなされた。本開催報告では当日司会を務めた上野の理解に基づき、鼎談で補われた内容も適宜含めて、町田氏・松田氏の講演内容の概要を再現したい。   町田明広氏「西周の生涯と和製漢語」 町田氏は歴史学の観点から「西周の生涯と和製漢語」の題目で、西の生涯を特に幕末の活躍に力点を置いてふりかえるとともに、西が翻訳に関わった「和製漢語」について紹介された。西は石見国津和野藩にうまれ、六十八歳手前まで生きた当時としては比較的長命な人物で、しばしば話題にのぼる森鴎外との関係は、系図上は従兄妹でありながらも血のつながりはないという。四歳で祖父時雍(ときやす)より『孝経』を習い、六歳にして『大学』『中庸』『論語』『孟子』の四書を修めた早熟な子どもであった。十二歳にして藩校養老館に入学したが、このことは西の学識形成の上で大きな影響を与えた。彼は「徂徠学に対する志向を述べた文」(弘化五年=嘉永元年・一八四八)において、天理・道徳を追究する朱子学から、制度を重んじる徂徠学への転換を示し、ここに社会科学的実証性にもとづいた後の「哲学」にもつながるような姿勢の萌芽が見えるという。西は徂徠学への関心を高めていった一方、家業の医業を継ぐ決意をしていたが、藩命として「一代還俗・儒学専修」の沙汰が下り、医者になることをやめ、あろうことか朱子学の道へと進むことになってしまった。 町田氏によれば、彼の人生の大きな転換点の一つは、嘉永六年(一八五三)のペリー来航であったという。この頃西は様々な役目を負って江戸藩邸に出向いたが、翌安政元年(一八五四)、西洋学を志して脱藩を決行した。長男の脱藩はきわめて重い出来事と受け止めうるが、藩主亀井茲監(これみ)は柔軟な考えの持ち主で「永ノ御暇」を下し、目付・家老をはじめ国学者として知られる大国隆正も西の脱藩には理解を示したという。津和野藩は幕末にあって、相対的に柔軟で開明的な立ち位置にあったとされる。 洋学修行に際して西は、杉田成卿(杉田玄白の孫)、手塚律蔵らと交流を持ち、安政四年(一八五七)には、脱藩で臣籍のない西を手塚が様々に支援するかたちで、蕃書調所で職を得ることになる。人に恵まれた西の人生が偲ばれる。また、一橋慶喜(のち徳川慶喜)との交流が始まるのもこの頃で、西は慶喜に「蝦夷地開拓の義」を提案している。その後西は、オランダ留学を果たすことになるが、オランダへの渡航は十か月を要し——この間も暗礁に乗り上げ遭難する、ナポレオンの旧居を訪れるなど独特な体験を経て——、ようやくライデン大学のフィッセリングのもとで学習を始める。フィッセリングからは「治国学」(特に法学、政治学、国際法、経済学、統計学)を学んだが、その過程で西は、アジアでは帝国主義的植民地支配が広がっているのに対し、欧米では国際法(いわゆる「万国公法」)によって国家間の平等や平和が保たれている事実を理解していった。彼は西洋列強に対抗するための統一国家日本の実現、国体の変革、立憲制への移行などの必要を自覚しはじめた。町田氏はここにいち早く「近代日本人」への転換を果たした西周の姿を見いだす。また、「哲学」については、コントやミルの思想的立場にたつフィッセリングの影響に加え、オランダ哲学界の巨匠オプゾメール、ファンデン・ヴァイクらの著作を西が多く講読していた点も指摘された。 帰国後の西は開成所に勤め、幕府直参となり、十五代将軍徳川慶喜付きとして上京の命を受ける(西は慶喜にフランス語を教えていたという)。彼は慶応三年(一八六七)、会津・桑名他諸藩の藩士や新選組隊士へ講義を行い(『百一新論』に結実する)、慶喜より諮問を受けわが国最初の憲法草案とも言われる「議題草案」を提示し、これをもとにさらに「別紙 議題草案」(大政奉還後も行政権を将軍が握る徳川家中心の政体案)を作成した。 ところで、西周といえば「概念」をはじめとする数々の翻訳語を生み出したことで知られている。明治期に生み出された多くの和製漢語はその多くが中国に逆輸入され、現代中国語を含めて近代東アジアの共通知的基盤となったとされる。町田氏は、手島邦男氏の研究成果に拠りながら西の新造語(西自身の創作による語:「概念」「肯定」他)、転用語(漢籍や仏典を典拠とした語に新たな意味を付与した語:「現象」「民主」他)、借用語(欧米宣教師の洋学書や英華辞典で用いられた訳語の用いた語:「失意」「新聞」他)について最後に紹介された。   松田清氏「蕃書調所における英学」 松田氏は日本の洋学史・思想史の観点から「蕃書調所における英学」の題目で、西周の蘭学から英学への転換、蕃書調所での業務の中で翻訳した新聞雑誌記事の内実、ライデン滞在期以来の学業の達成とホフマン『大学 朱熹章句序』校閲の意義について研究成果を披露された。 松田氏によれば、従来「オランダ留学」の印象から蘭学学徒としてのイメージが強かった西周であるが、実は彼が一貫して関心をもっていたのは英学であったという。「オランダ語の兵書を読むため」という当時としてはもっとも説得的に受け止められた動機のもと脱藩した西周は、杉田成卿塾、大野藩邸などで和蘭文典を通じてオランダ語を学習し、その後手塚律蔵の又新(ゆうしん)塾に入塾するが、特に英語の才が見込まれ、手塚の指示を受けて中浜万次郎のもとで英語の発音を学び、さらに専ら英書を多く読んでいたという。このような西周の英学傾倒が窺える業績が、日本で初めて整版された英文法書『伊吉利文典』の刊行である。同書はロンドンの教科書出版社が貧困層向けに発行した廉価な教科書シリーズの一冊で、手塚律蔵とともに又新堂から刊行したものである。 西周が手塚律蔵とともに蕃書調所の業務に従事することになったのも、英語の力を見込まれてのことであった。松田氏はすでに蕃書調所教授方が翻訳にたずさわった欧文記事の目録作成とその典拠の特定研究を詳細に行っており(『神田外語大学日本研究所紀要』第十七号所収「蕃書調所教授方の欧文典拠目録」参照)、その成果から西周(および手塚律蔵)が関与した翻訳記事を概観してみると、中でもイギリスおよびロシアにかかわった戦争関連記事が多く散見される。今回松田氏が特に注目されたのは、資料番号248、257、258、259に言及された第二次アヘン戦争(アロー戦争)に関わる記事である。蕃書調所においてオランダ語ではなく英語で中国情勢のこうした記事の翻訳に従事するかたわらで、西の眼を大いにひきつけたと思われるのが『上海新聞跋訳』(原文:North China Herald 487号一八五九年一一月二六日(茨城大学附属図書館文庫蔵))に載る、グリフィス・ジョン師「支那の倫理学、とくに人間の本性と罪の教説に関連して」と題された報告の抄録であったと松田氏は見る。これは、中国の「倫理学」である儒学思想の展開が、孔子、子思、孟子、荀子、楊氏、韓昌黎らに言及されながら整理された記事であるのだが、西周は幼いころから儒教に親しみ二十歳の頃には藩校養老館で句読(儒学助教)をも務め、朱子学・徂徠学の素養もあった。このことを踏まえれば、彼はこの記事を夢中になって訳出したに違いない。原文において…the doctrines of Human Nature and of Sinとある題のSinを「天道」と訳出している点などはきわめて特徴的であり、このことの含意の解明は今後の研究に譲るものの、西の思想を史料に即して検証する上で注目に値し、示唆に富む発見である。 ところで西は当初からアメリカ留学を切望していたものの、現実の様々な制約のすえオランダに留学することとなってしまった。しかし、西が留学した十九世紀のヨーロッパは、自由主義・立憲主義が隆盛しており、結果からみればアメリカへ留学するよりももっと貴重で豊かな体験を得られたものと推測される。彼はホフマンの『大学 朱熹章句序』の校閲を津田真一郎(のちの津田真道)と果たしている。蘭学・英学に親しんでいてもなお、儒学、とりわけ朱子学と西周との密接な関係がここに確認できる。また、彼のオランダ留学の成果のうち有名なものの一つが、帰国後開成所教授となった折に幕命によって取り組んだライデン大学法学部教授シモン・フィッセリングの講義録「国際法」の翻訳であろう。これはその後、「畢洒林氏万国公法」として慶応四年(一八六八)に刊行される。西は、これまで日本にはない数々のヨーロッパ特有の概念を初めて日本語に翻訳しなければならない事態に直面していた。それは、単に相当する語が存在しないという単語レベルの困難としてのみ見られるべきではない。英字新聞の翻訳にせよ、欧州独自の法体系の翻訳にせよ、こうした一切の新鮮な概念を初めて日本語に訳出しなければならなかったことの困難は、今日出来合いの単語を当てはめれば曲がりなりにも一定の翻訳ができるわれわれの時代のそれとは大きく質の異なるものであろう。この翻訳という営みにおいてわれわれが西周の胸中に観なければならない一つの重要な葛藤は、英・蘭・日のあわいに立たされた彼の文化的苦闘である。「初めて」言葉を生み出すということの重みが、ここに見届けられなければならないのである。 その彼の自信と誇りを読み取るべき署名が、ライデン滞在中にオランダ語序文を寄せたリンダウの『日本旅行記』蘭訳に付されたそれである。西周は「幕臣」たる己の立場をJapansch officierと訳し、また法学を修めた者としての自らのあり方をregtsgeleerdheid(「法学生」)と訳している。この何気ないサインには、日本の幕臣であるこの「西周助」こそが、ヨーロッパの国家学(staatkundig gebied)をオランダ語で初めてここまできわめたのだという自負と矜持とが読み込まれてよい——彼の人生においては、このような重みが刻み込まれた署名なのである。また西周は、おそらくは同じころ、洋書調所同僚の黒田行次郎宛てにライデンから書簡を送っている。そこには、「切歯扼腕之士」(すなわち反西欧の急進的攘夷派の士ら)の面前では「禁言なり」としながらも、初めて目にした欧州世界の現実に圧倒された彼の純粋な感動を隠してはいない。 以上を総合するに、西周は実は儒学を完全に捨ててはおらず、むしろ儒学と西洋哲学とを総合した新たな統一的哲学を志向していたのではないかという見通しが示され、その内実の研究は今後の課題とされた。松田氏の講演は、史料の確かな精読の先に、西周の苦悩が生きたままに蘇る躍動的なもので、西周がひとりの人間として己の内で翻訳を通じて葛藤して思索を紡いでいった姿がありありと再現され、講演を聴くなかで深い感動をおぼえた。   当日は西周の御子孫にあたる西周作氏も会場にみえていた。西周が日本の近代化に果たした大きな役割、その功績と偉業が今を生きる我々の日常にも無自覚な形でつながっていることが確認されるとともに、激動の時代を生き抜いた「人間西周」の葛藤や苦悩があらためて浮き彫りにされた機会となった。 (上野太祐)    

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神田佐野文庫企画展 「西周と幕末洋学の転換」開催(2025年11月5日~14日)

ペリー来航(1853)によって開国(1854)を決断した幕府は、軍事力増強と西洋文明導入のため、長崎海軍伝習を開始し(1855)、 本格的な西洋研究機関・蕃書調所( ばんしょしらべしょ)を設立(1856)しましたが、当初、蕃書調所の教官は蘭学者ばかりでした。 蕃書調所で蘭学から英学への転換を最初に実践したのは、安政4年(1857)5月に採用された西周助でした。 のちの明治啓蒙思想家・西周( にし・あまね)です。本企画展では、神田佐野文庫の関係資料により、 蘭学から英学へと転換した幕末洋学の諸相を考察します。 ポスター  

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6TH ASIAN PHILOSOPHICAL TEXTS CONFERENCE

The 6th Asian Philosophical Texts Conference (“Asian Philosophies and Literatures”) Date: July 29-30, 2024 (hybrid, GMT+1 time zone) Venue: University of Edinburgh This year’s theme: ‘Asian Philosophies and Literatures’ Program: APT program July 29-30 For the Zoom link, please contact asianphiltexts[at]gmail.com. This conference aims to provide a platform for scholars in the field of Asian …

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Call for Papers: 5th Asian Philosophical Texts Conference

This conference aims at providing a platform for scholars in the field of Asian Studies and world philosophies to discuss and reflect on the task of translating Asian philosophical texts (in the broadest sense) into Western languages. This includes – but is not limited to –  Chinese, Cambodian, Indian, Japanese, Korean, Mongolian, and Vietnamese philosophical …

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2021年12月11日(土)オンライン講演会「人物から見た、幕末・明治維新」開催

人物から見た、幕末・明治維新人物から歴史を振り返り、見えてくるものとは。~歴史人物に学ぶ、リーダーシップ論・人間力~【開催日時】12月11日(土)14:00~16:00 今、デジタル革命が世界を変えているがそのスピードに無自覚だと危ない。自分の考えを常に整理しないと振り回される。実は幕末維新の時代の変化は今日のデジタル革命並みに劇的であったが人々は必死に考えた。また「広く会議を興し万機公論に決すべし」で始まる五箇条の御誓文は日本の民主主義そのもので斬新さに今更ながらビックリする。あの時代を振り返り現在を考え、一緒に未来を創ろう。  学長 宮内孝久   本講演会は参加申し込みが必要です。 皆様のご参加をお待ちしております。事前登録が必要になりますので、チラシに掲載されたQRコードからお申込みをお願いいたします。        

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12月9日ムスタツェア先生の講演会「大衆文化からサブカルチャーへ」が開催されます

12月9日(木)13時~14時40分、日本研究所はムスタツェア先生(IC学科)の講演会「大衆文化からサブカルチャーへ」を開催します。講演会はZoomで公開され、どなたでも聴講いただけます。 皆様のご参加をお待ちしております。事前登録が必要になりますので、チラシに掲載されたQRコードからお申込みをお願いいたします。

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13-14 November 2021: 国際会議Asian Philosophical Texts 開催のお知らせ

11月13日・14日にて、表題の学会をZoom開催します。事前登録は必要ありません。 下記のリンクより参加いただけますので、興味のある方はふるってご参加ください。 ******** Zoomリンク:https://zoom.us/j/93919402267?pwd=ZWNNUVhGbDJNUW9XWUtpTmxWcnhrQT09Meeting ID: 939 1940 2267Passcode: apt3 ********

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2020年12月12日 日本研究所櫻庭美咲講師による茶の湯文化学会研究発表「福喜多靖之助著『CHA-NO-YU TEA CULT OF JAPAN』」が行われました

12月12日、茶の湯文化学会東京例会において日本研究所櫻庭美咲講師による口頭研究発表、演題「福喜多靖之助著『CHA-NO-YU TEA CULT OF JAPAN』―海外へ伝えられた近代数寄者の茶の湯―」が行われました。 茶の湯文化学会東京例会 2020年度   12月12日(土)14:00~(会場:さいたま市文化センター 大集会室)          櫻庭美咲「福喜多靖之助著『CHA-NO-YU TEA CULT OF JAPAN』 -海外へ伝えられた近代数寄者の茶の湯-」 工藤隆彰「古田織部と連歌 -近衛信尹との両吟百韻を中心に-」

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2020年11月2日 日本研究所櫻庭美咲講師による講演会「シーボルト・コレクションの陶磁」(於オーアーゲー・ドイツ東洋文化研究協会)が開催されました

11月2日、青山にある公益社団法人オーアーゲー・ドイツ東洋文化研究協会で開催されたシーボルトセミナーで、日本研究所櫻庭美咲講師による講演「シーボルト・コレクションの陶磁」が行われました。 OAGドイツ東洋文化研究協会は、明治6年、在日ドイツ外交官、学者、貿易商による設立以来、伝統の研究会を開催しています。シーボルト・ゼミナールは毎月一回(原則第2月曜日)開催され、どなたも随時参加できます。158回を数える、幕末・明治にわたるシーボルトが研究した様々なマターをテーマとする講座に成長し、世界で唯一のシーボルト・ゼミナールといわれ、その存在はドイツでも知られています。 テーマ:「シーボルト・コレクションの陶磁器」講 師:櫻 庭 美 咲 神田外語大学日本研究所専任講師 (美術史専攻、博士) とき:2020年11月2日(月)18:30―20:00ところ : OAGドイツ文化会館 1階ホール(港区赤坂7-5-56 青山一丁目駅下車7分) 【概要】フィリップ・フランツ・フォン・シーボルトは、オランダ東インド会社の医師として訪れた1823―1829(文政6―12)年、および1859|―1862(安政6―文久2)年の二度にわたり来日しました。その滞在中シーボルトが膨大な数量の日本関係資料群を収集したのは周知の通りです。それらは、ミュンヘンの五大陸博物館、ライデンの国立民族学博物館をはじめドイツ、オランダの複数の機関と個人に分蔵されています。本講演は、このうち1874年にバイエルン国によって購入され、現在ミュンヘンの五大陸博物館に所蔵されるシーボルト・コレクションの陶磁器を紹介するものです。同コレクションの陶磁器は270点あり、その産地は有田や瀬戸、美濃、三田、京都、備前、江戸から中国まで多岐にわたります。また、シーボルト自身が企画したミュンヘンのホーフガルテンにおけるコレクション展示の陶磁器陳列についても解説します。

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2020年8月23日 日本研究所櫻庭美咲講師による講演会「マイセンの動物彫刻—バロックのケンドラーからアール・デコのエッサーまで」(於岡崎市美術博物館)が開催されました

8月23日、岡崎市美術博物館で開催された展覧会「マイセン動物園展」の関連イベントとして、日本研究所櫻庭美咲講師による講演会が開催されました。(展覧会の詳細についてはこちらをご覧ください。) 講演会「マイセンの動物彫刻—バロックのケンドラーからアール・デコのエッサーまで」 講 師/櫻庭美咲氏 (神田外語大学日本研究所 専任講師) 日  時/8月23日(日曜日)  午後2時~ (当日午後1時30分開場、整理券配布) 会  場/岡崎市美術博物館1階セミナールーム

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2020年3月 Asian Philosophical Texts が刊行されました

2018年10月にベルギーで開催された第1回国際会議(神田外語大学日本研究所・ブリュッセル自由大学東アジア研究センター共催)の研究成果報告をまとめた学会報告書ASIAN PHILOSOPHICAL TEXTS が刊行されました。 *** Asian Philosophical Texts – Exploring Hidden Sources Table of Contents Introduction, by Takeshi Morisato and Roman Pașca ESSAYS: “White Horse is Not [a] Horse”: How the Translation Creates the Paradox by Yijing Zhang Philosophy for Children: Globalization and the Translation of a Neo-Confucian Text by Margaret Chu The Holism of Guanxue in …

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2019年11月1日~14日 本学神田佐野文庫企画展「長崎屋の二階 ―シーボルト以前の蘭学開花―」が開催されました

2019年11月1日(金)~14日(木)、本学神田佐野文庫企画展「長崎屋の二階 ―シーボルト以前の蘭学開花―」が本学図書館グループ室5にて開催されました。 1823年に来日したシーボルトが日本研究に大きな成果を上げられたのは、文政期(1818~1829)に通詞や蘭学者の語学力が飛躍的に向上し、江戸・大阪・京都など各地に蘭学知識やオランダ趣味が流行していたからです。 オランダ商館長一行の定宿であった日本橋の長崎屋は、とりわけ文政期に日蘭文化交流の拠点となりました。本展示では、長崎屋の二階を描いた新資料「長崎屋宴会図」(文政5年 1822、桂川甫賢筆)を中心に、シーボルト来日以前の蘭学開花に光をあてます。 本展示に関連して展示監修者である松田 清先生による講演会も開催しました。 主催: 本学日本研究所 講演者:松田 清(日本研究所客員教授) 主題:「長崎屋宴会図を読む」 日時: 11月14日(木)16:30~18:00 会場: 神田外語大学4号館4-101教室 (事前申し込み不要、参加費無料、一般来場歓迎)  

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2019年9月10日 神田外語大学日本研究所、ブリュッセル自由大学共催 2nd Asian Philosophical Texts Conferenceが開催されました

2nd Asian Philosophical Texts Conferenceは、2019年9月10日 、神田外語大学にて開催されました。本学会は、神田外語大学日本研究所とブリュッセル自由大学東アジア研究センターの協定締結後二度目、日本では初の開催でした。日本、ベルギーのみならず、インド、ルーマニアなど各国から研究者が集まり、さらには一般参加者も加わり、日本を中心とするアジアの「哲学」をめぐる白熱した議論が交わされました。 Niladri Das氏は、伝統的なウパニシャッドの哲学体系を踏まえ、”Tranquillity”の観念について報告されました。われわれが日ごろ実体として認めるものが実は虚妄であるとするインドの思索の深みに触れました。        Niladri Das氏(Jadavpur University Kolkata, India) Alexandra Mustățea氏は、山鹿素行の「士」概念の重層性や背景を翻訳する際にぶつかった問題について触れました。西洋のknightと日本の武士との差異に加え、中国の儒教的価値を多分に含んだ素行の「士」概念を翻訳することの難しさは、見落とされがちな課題と言えます。     Alexandra Mustățea 氏(Toyo University; Temple University Japan Campus, Japan) 本学講師上野太祐氏は、世阿弥の能楽論の稽古の過程にひそむ自己意識の変容について発表されました。自己の揺らぎに焦点を当てた世阿弥能楽論の読み解きは、参加者の関心を惹きつけておりました。       上野太祐氏(神田外語大学アジア言語学科) Roman Paşca氏は、安藤昌益のテキストにみえる術語の複層的説明をいかに翻訳するか、という観点から、日本思想の翻訳の難しさを具体的に示されました。ある思想家の思想を翻訳しようとする試み自体が、すでに哲学であるという言葉は印象的でした。        Roman Paşca氏(Kyoto University, Japan) Jordanco Sekulovski氏(Temple University Japan Campus, Japan)は、根源的次元において日本人のふるまいや発想を規定している型について議論されました。日常の奥深くに潜っている型が、実は和辻哲郎の間柄としての倫理に結び付いていくという視角は非常に刺激的でした。 Douglas Atkinson氏(Vrije Universiteit Brussels, Belgium)は私小説をめぐる柄谷行人とその周辺の豊かな議論と近代小説の問題を明らかにしました。哲学研究が文学研究へと接続し、両者が一体で論じられていく大変視野の広い有意義な成果でした。 日本開催ということもあり、多くは日本をめぐる研究でした。しかし、日本の思想のなかにアジア・ヨーロッパ諸地域の思想が深く入り込んでいること、裏返せば、日本の思想がアジア「哲学」への通路たりうることを自覚できた点は、収穫と言えます。ここで報告された成果は、将来的に書籍 Asian Philosophical …

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2019年8月4日 日本研究所櫻庭美咲講師による講演会「フランス宮廷の装飾芸術セーヴル磁器 ―18世紀ロココから新古典主義様式へ―」がヤマザキマザック美術館で開催されました

2019年8月4日、名古屋市のヤマザキマザック美術館にて、本校日本研究所櫻庭美咲専任講師による講演会「フランス宮廷の装飾芸術セーヴル磁器 ―18世紀ロココから新古典主義様式へ―」が開催予定されました。 当日の模様はこちらからご覧いただけます。 フランソワ・ブーシェ《アウロラとケファロス》1745年

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2019年6月20日 日本研究所主催「世界の中の日本第7回」講演会 「文化外交の視点から見た日本文化の価値創出― フランスにおける日本文化の事例~伝統文化からサブカルチャー 」が開催されました

2019年6月20日、日本研究所主催による連続講演会企画「世界の中の日本第7回」講演会が開催されました(於:神田外語大学クリスタルホール、共催:ポーラ伝統文化振興財団・ヒストリーデザイン)。 ヨーロッパでは、日本のサブカルチャー、なかでもとりわけマンガやアニメの人気が高く、その流行は幅広い層に広がり定着した感があります。講演者にお迎えした増田是人氏は、外務省大臣官房戦略的対外発信拠点室首席事務官という政府の立場から、特にフランスを舞台に展開されたジャパンエキスポやジャポニスム展など、海外に日本文化を広める活動に長年携ってきたエクスパートです。 講演者:増田是人氏(外務省大臣官房戦略的対外発信拠点室 首席事務官) 今回は、昨年開催された「ジャポニスム2018」展の紹介を中心に、その立案から苦労話など舞台裏談も交えた貴重なお話をいただきました。また、講演後に学生・教員と増田氏とのディベートが行われ、外務省による国際交流イベント企画や外交に関す、活発な議論も交わされました。 日仏友好160周年記念に当たる昨年の7月にパリで開幕した日本文化の祭典「ジャポニスム2018:響き合う魂」展は、約40億円を投じ、伝統芸能にアート、食文化など幅広いジャンルを約8カ月にわたり紹介する興味深いものでした。数えきれないほど多くの多様な美術展や舞台公演、料理等の関連イベントが行われ、350万人を超える観客が動員されました。パリ市民の数は220万人ですから、その反響は驚嘆すべきものと云えましょう。 特に集客を集めた展覧会トップ3は、現代美術家集団TeamLabによる「境界のない世界」展(約30万人入場・2018年5-9月)、「安藤忠雄―挑戦」展(約17万人入場・2018年10-12月)、「Enfance/こども時代」展(約11万人入場・2018年6-9月)。いずれも現代芸術に焦点を当てたものです。7万5千人を集めた江戸時代絵画の「若冲―動植綵絵を中心に」展は、盛んにメディアで報道され、大変な話題となりました。また、国宝6件が出品された「縄文―日本における美の誕生」展といった文化庁主催の主力企画や、相撲や宝塚といった廃案となった計画の経緯も紹介され、国際的なイベント企画の困難についても学ぶことができました。 ところで、ジャポニスム展の立案者は、昨年亡くなった俳優の津川雅彦氏であったそうです。広報大使を務めた香取慎吾氏の個展も開かれるなど、ジャンルや伝統、時代性にとらわれぬ、権威とソフトカルチャーの両極が生かされた包括性も圧巻といえます。こうした総合性は、多面性と奥行きをもった日本文化の真の姿を伝えるには重要な要素と伝えるでしょう。 型にはまらぬ国際イベントを数多く手掛けてこられた増田氏の卓越した組織力、そしてなによりも「情熱」に感嘆した、有意義な講演会でした。 主催者挨拶:櫻庭美咲氏(神田外語大学日本研究所 専任講師) 主催者挨拶:小泉優莉菜氏(公益財団法人ポーラ伝統文化振興財団学芸員) 司会:久保健治氏(株式会社ヒストリーデザイン代表)

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2018年12月14日 日本研究所櫻庭美咲専任講師による講演会「ドイツにおける伊万里焼の収集と磁器陳列室の流行」が開催されました(日本研究所主催)

2018年12月14日、日本研究所主催講演会「ドイツにおける伊万里焼の収集と磁器陳列室の流行」(櫻庭美咲専任講師)が開催されました。講演内容についてはこちらよりご覧いただけます。(Foto: Zwinger Palace in Dresden, Germany)

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2018年11月15日 日本研究所松田清客員教授による神田佐野文庫所蔵貴重書に関する講演会が開催されました

2018年11月15日、日本研究所は神田佐野文庫所が所蔵する洋学関係貴重書にかかわる講演会(講師:松田清客員教授)を主催しました。開催に関する詳細はこちらのリンクにてご覧ください。講演内容は、こちらからご覧いただけます。

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