学習アドバイザー養成プログラム(コース2)

次回開催予定:2025年7月6日、13日、20日

*本年度の受付は終了いたしました

神田外語大学学習者オートノミー教育研究所(RILAE)は、2024年7月、「学習アドバイザー養成プログラム:コース2」を開講いたします。

RILAEの学習アドバイザー養成プログラムは、全5コースから構成され、各コース週1回のオンライン講義(2時間)、授業後のオンラインディスカッションへの参加(1時間程度)、授業前・授業後の課題から構成され、それらを3週間にわたって行うものです。

コース1(Getting Started)では、学習者オートノミーの成り立ちや、言語学習におけるアドバイジング(ALL)の定義、そして意識改革アドバイジング(Kato & Mynard, 2016)の概念をご紹介しました。また、12のアドバイジングの基本スキルやリフレクティブダイアローグを促す6つのテクニックを、実践的なアクティビティを通して学びました。

上記の内容を修得したコース1の修了者を対象としたコース2「Going Deeper」では、学習者が深く振り返るように導くことで、学習者の視野を広げるサポートに重点を置いています。そういう意味で、コース1で着目した「学習者との信頼関係の構築」は、コース2「Going Deeper」の土台となります。

コース2では、学習者をより深いレベルに導くために、意図的に内省を促す対話(IRD)を構成することに重点を置くと同時に、アドバイザーがプロフェッショナルとして、さらに成長できることを目指します。

コース2の目標

  • アドバイジングの基本スキルをより深く理解し、学習者とアドバイジングセッションを行う際に使用するさらなる応用スキルを習得する。
  • 学習者と長期的な関係を築く方法を学ぶことで、継続的なアドバイジングの効果を理解する。
  • 意図的に内省を促す対話(IRD)をさらに理解し、対話を通して学習者の感情に向き合う方法を学ぶ。
  • ポジティブフィードバックが学習者に与える影響について理解する。

コース2の授業形態

  • 週1回のZoomによるオンライン講義(2時間)+講義後のディスカッション(1時間程度)を3回実施
  • 講義はインタラクティブなやり取りを中心とする実践的なもの。カメラやマイクオンでの参加
  • 講義参加にあたっての事前課題や講義後の課題の実施
  • 講義後の課題に関するリフレクションを共有するオンラインフォーラムへの参加

本講座は、すでに英語版で実施しているAdvisor Education Program(全5コース)の基礎コース(コース2)を日本語でご提供するものです。受講資格としては、本プログラムのコース1(日本語版)をすでに受講している必要があります。
※ 次回のコース1の実施は、2024年2~3月を予定しています。

◆「学習アドバイザー養成プログラム:コース2」開催概要

【日 時】  2024年7月7日、14日、21日 各回10:30~12:30 講義後、最長1時間のディスカッションあり(任意参加)  *本年度は開催済み。

【実施形態】  Zoom

【定 員】      30名

【参加条件】 教育に携わる教員・職員、学習アドバイジング、コーチング、1対1の対話を通して学習者の自律性を高めることに興味のある方(社会人・院生)が対象。ペアワーク、ディスカッションが中心の講義となりますので、マイクやカメラのご準備をお願いします。本プログラムコース1を終了していること、また、「オンライン講義を受講するに当たってのルール」への同意を参加条件としたします。

【受講料】   33,000円(税込・3日間、デジタル教材費込み)
      * 神田外語グループ関係者  23,000円

【内 容】    「学習アドバイジング」の応用スキル:深化を促進する対話とは

事前課題】コース1で学んだことを生かし、30分程度のセッションを学習者(または同僚)と行い、以下の点についてリフレクションをしましょう。Week1のディスカッションのトピックとして活用しますので、可能であれば相談者の許可を取って、セッションの音声を録音してください。

  • セッションの目的は何だったのか?
  • 自分自身または相談者のセッションに対する満足度は?
  • なにか気づいたことはありますか?
  • もっとこうすればよかったと思うことはどんなことでしょう?

● Week 1:学習者の視野を広げる

  • 学習の軌跡の復習。「より深く」学ぶことの意味を理解する
  • 学習者の視野を広げる方法とは
  • アドバイジングセッションを分析・考察する

● Week 2:意図的に内省を促す対話(IRD)とは

  • アドバイジングやアドバイザー教育におけるIRD/リフレクションの活用方法
  • 継続的なアドバイジングに取り組む相談者への対応 
  • ツールを使ってアドバイジングの対話を促進する方法

 Week 3:感情・情緒への対応とポジティブフィードバックの与え方

  • アドバイジングセッションにおける学習者の感情への対処法を学ぶ
  • 信念や価値観を追求する意味とは
  • ポジティブフィードバックとは?またポジティブフィードバックがセッションに与える影響とは?

【申し込み方法】こちらからオンライン申込書を記入 *本年度の受付は終了いたしました。

【問い合わせ先】rilae@kuis.ac.jp

【指定図書】 
リフレクティブ・ダイアローグ 学習者オートノミーを育む言語学習アドバイジング』加藤 聡子,ジョー・マイナード 著/義永 美央子,加藤 聡子 監訳(大阪大学出版会、2022)



学習意識改革ノート』加藤 聡子,義永 美央子(大阪大学出版会、2024)
*アドバイジングで使用するワークシートを収録しています。

『学習者オートノミー―日本語教育と外国語教育の未来のために (シリーズ言語学と言語教育)』青木 直子・中田 賀之(編)(ひつじ書房、2011)

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RILAE認定アドバイザー資格制度について
RILAEの学習アドバイザー養成プログラムの英語版(Advisor Education Program) は、全5コースから構成され、5コースを終了することによりLearning Advisor Certification(Advanced)が発行され、RILAE認定アドバイザーの資格を取得することができます。また、5つのコースを終了した認定アドバイザーは、その後、Advisor Educator Certificateプログラムを開始することができ、一定の条件およびRILAEのクラス運営などをTA(ティーチングアシスタント)としてサポートすることよにり、RILAE認定アドバイザー教育者(トレーナー)となることができます。

日本語版プログラムでは、コース1、コース2、コース3を終了することにより、アドバイザーとしての基本スキルと知識を習得したと認定し、RILAE認定アドバイザー(日本語版・基礎編)の資格を発行いたします。日本語版認定証は「アドバイザー」としての基本知識とスキルの取得を認定するものです。引き続き、Advisor Educator Certificate(アドバイザー教育者・トレーナー資格)の取得を目指される方は、英語版Course 4およびCourse 5をご受講ください。

【英語版プログラムへの移行に関して】

本コースの内容は、英語版のAdvisor Education ProgramCourse1に対応しているため、本コース終了後、英語版のプログラムのCourse 2およびそれ以降のコースへ移行することができます。英語版プログラムでは、全5コースを修了することにより、RILAEの認定アドバイザーとしてのCetificateを取得することができます。Course 1はすべてのコース(Course5以外)を受講するための前提条件となるコースです。Course 1を受講後はどの順番で他のコースを受講していただいてもかまいません。日本語コースから英語コースへ移行する際は、Course 1で学んだことに関して、1500ワード程度のペーパーを英語で提出してきただき、英語でのコース参加が可能かの審査をさせていただきます。ご質問がある方は、rilae@kuis.ac.jpまでお願いいたします。

【担当講師】

加藤聡子(Satoko Kato)

神田外語大学学習者オートノミー教育研究所特任准教授。米国コロンビア大学大学院修士課程修了(MA TESOL)、広島大学大学院教育学研究科博士課程後期修了(教育学博士)。学習者オートノミーの育成、アドバイザー養成プログラムの開発、教員教育を専門とする。代表著書に『Reflective Dialogue:Advising in language learning』(Routledge NY)、『英語教師のための自律学習者育成ガイドブック』、『英語学習手帳』(神田外語大学出版局)など。

山本貴恵(Kie Yamamoto)

和洋女子大学国際学部英語コミュニケーション学科助教。自律学習、反転授業、CLIL等様々な英語教授を実践している。同大学自律学習施設グローバルラウンジの運営及びスチューデントアシスタント育成を主導。米国テンプル大学大学院ジャパンキャンパスにて修士号(MSEd in TESOL)取得。英国バース大学教育博士号在籍中。

今村有里(Yuri Imamura)

複数の高等教育機関にて外国語教育と教員教育に注力。英国バーミンガム大学大学院修士課程修了(MA TEFL/TESL)。元中学・高等学校教師。自己主導型学習やアドバイジングスキルを生かした授業運営を行う。神田外語大学 学習者オートノミー教育研究所の研究員の一員として、2019年よりアドバイザー養成プログラムに従事。

生方遥(Haruka Ubukata)

神田外語大学セルフアクセスラーニングセンター(SALC)ラーニングアドバイザー。リソースコーディネーターも務める。米国テンプル大学大学院ジャパンキャンパスにて修士号(MSEd in TESOL)取得。日本語学校講師、英会話スクール講師・教室長の経験を持つ。

高田シーナ(Sina Takada)

神田外語大学 Self-Access Learning Center (SALC) ラーニングアドバイザー。神田外語大学大学院にて修士号(MA TESOL)を取得。中学、高校、大学でのアドバイジング経験に加え、英語コーチングスクールでの社会人の英語学習コンサルティングの経験も持つ。

<英語版プログラムで推奨されている文献>

References

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